人を動かすための言葉と行動
業務の期日に追われる日々にもかかわらず、マイペースな働き方を変えようとしない。
そんな人が、あなたの周りにもいませんか。どうにかしてほしいと思っても、
上下関係や相手の性格上、なかなか注意ができないところもありますよね。
ビジネスシーンにおいて重要なスキルである、
「人を上手に動かすための言葉や行動」をお伝えします。
人を動かすための
言葉と行動
業務の期日に追われる日々にもかかわらず、マイペースな働き方を変えようとしない。
そんな人が、あなたの周りにもいませんか。どうにかしてほしいと思っても、
上下関係や相手の性格上、なかなか注意ができないところもありますよね。
ビジネスシーンにおいて重要なスキルである、
「人を上手に動かすための言葉や行動」をお伝えします。
「人を動かす」ことは思った以上に簡単ではありません。例えば、家族や親しい友人などプライベートな関係であっても、あなたの希望通りにいつも動いてはくれません。これがビジネス上のかかわりのある人となると、より一層難しくなります。
私も会社員時代にマイペースな後輩に悩んだ経験があります。社歴は私よりも短かったのですが、年齢は上のため、「仕事の進め方を変えた方がよいのではないでしょうか」と言いたくても言えませんでした。しかし、放っておいても業務は円滑に進みにくくなるばかりか、周囲のミスも増えていきました。思いが伝わらないもどかしさも一因だったように感じます。そこでどうにかしなければと思い、策を講じることにしたのです。
まずグループリーダーだった私は、相手と話すきっかけを探しました。コミュニケーションの回数を増やすことで、距離を縮めたいと思ったからです。悩まされている相手と思うと、つい接触を敬遠したくなるところですが、それでは現状は変わりません。コミュニケーションが増え、信頼関係を築くことができれば、私自身が言いたいことも言いやすくなると考えたのです。
具体的には、相手の職位が下だからといって、決して上から目線にならないよう、常に敬語で話し、「さん」付けで名前を呼びました。また時折、ファーストネーム(名)で呼ぶようにもしました。ファーストネームで呼ぶと、お互いに自然と親近感がわくものです。そして常に笑顔であることも心がけます。作り笑いはかえって逆効果になる可能性もありますが、相手を嫌わず、むしろ好きになるつもりで接すれば、無理のない笑顔を浮かべることができるはずです。
会話をする際は、相手の興味や関心を中心に据えるようにしました。私自身のことは控えめにして、あくまで聞き役にまわり、大きく頷いたり、相づちを打ったりしながら、相手に気持ちよく話してもらうようにしました。すると、相手の本来の性格がおっとりとしていることや、慎重な性格のため何度も確認をする習慣が原因であることがわかってきたのです。
人を動かすための第一段階は、このようにコミュニケーションを深めることだと私は思います。信頼関係がなければ、人は動いてはくれません。
信頼関係を築き、相手との距離を縮めたら、次は第二段階です。私の目的は、年上の後輩のマイペースな働き方を変えることです。なぜなら、マイペースな働き方では周囲のペースを乱すと感じていたからです。ですが、私は相手にそのことを批判も否定もしませんでした。確認しながら慎重に仕事を進めていくことはとても重要なことだからです。それに一方的に批判や否定をしては相手の気分を害すだけで解決にはなりません。逆に、肯定されると、人は心を許すものです。ひとまず、相手の働き方を一部でも肯定するようにしました。
私は、相手の良い面を積極的に言葉にするようにし、周囲に「確実に仕事を進める○○さんを、よく見てください」とその人の良い面をお手本にするよう呼びかけました。褒められたり良い面を評価されたりすると、誰しも嬉しく、気持ちが満たされるものです。そしてもっと褒められるように頑張ろうとします。これは人間が持つ承認欲求からくるものです。
相手を肯定し、評価し、承認したら、いよいよ動かす段階です。ここでポイントとなるのは、相手が自らの意思で動き、変化するよう働きかけることです。人から受けた注意や指示によるものでは、真に変化することはできません。
「航空機の定刻出発のために、グループ全体で、確実でスピーディな動きを目指しましょう。○○さんの確実さはそのままお手本にさせていただき、スピードに関しては何かアイデアはありますか。チェック確認作業は一人で行わず、二人ペアで進めてはどうかと考えていますが、どうでしょうか」と具体的な行動案をマイペースなその人に投げかけてみました。そうすることで相手は自分の問題を全体の課題として見直し、効率的な仕事の進め方へと自ら変えていったのです。
人の性格や考え方は千差万別。もちろん人を動かすことは簡単ではなく、答えもひとつではありません。しかし焦らず、段階を踏んで相手との距離を縮めながら見極めていけば、必ず解決策が見つかるはずです。