ビジネスシーンでのハラスメント対策
セクハラ、パワハラ、モラハラ…。昨今、芸能界からスポーツ界、政治の世界に至るまで、
様々な「ハラスメント」が問題となっています。それはビジネスの場面に
おいても同様であり、ビジネスパーソンとしては常にハラスメントに
注意しなくてはなりません。今回はビジネスシーンにおける
ハラスメントの対策についてお伝えします。
ビジネスシーンでの
ハラスメント対策
セクハラ、パワハラ、モラハラ…。昨今、芸能界からスポーツ界、政治の世界に至るまで、
様々な「ハラスメント」が問題となっています。それはビジネスの場面に
おいても同様であり、ビジネスパーソンとしては常にハラスメントに
注意しなくてはなりません。今回はビジネスシーンにおける
ハラスメントの対策についてお伝えします。
「ハラスメント」とは、「人を困らせること・嫌がらせ」という意味です。加害者にその意識がなくても、被害者が「困った」「嫌だ」「不快だ」と感じれば、ハラスメントに該当する可能性が高くなります。被害者と加害者に意識の差があることが特徴です。
ハラスメントを受けた側は、心身に大きな傷を負います。それが原因で病気を発症し、休職や退職にまで追い込まれる例も後を絶ちません。そうなれば企業にとっては、貴重な人材の損失であり、対外的には大きなイメージダウンにつながるなど、経営上の大きなリスクとなり得ます。
では、ビジネスシーンで起こり得るハラスメントとその対策、さらにはハラスメントの予防策に対してどのような対応をすればよいのでしょうか。
まずは、ハラスメントの中でも最も知られている「セクシュアル・ハラスメント」、いわゆる「セクハラ」からです。セクハラには2つのパターンがあり、ひとつは、上司と部下の関係を利用し、部下に対して性的な言動や行動を継続的に繰り返すものです。後述する「パワハラ」に似ていますが、「性的」という観点からセクハラに該当します。
もうひとつは、異性の社員にとって不快と感じる性的な会話を続けたり、性的な物を職場に置いたりするなどして、環境面から被害を与えるセクハラです。男性から女性へというイメージがありますが、必ずしもそうではなく、女性が加害者となる、あるいは同性同士で起きてしまうケースもあります。
「パワー・ハラスメント」=「パワハラ」も、昨今よく耳にする言葉です。パワハラは上司と部下の間で起こるものですが、業務上の指導との線引きが難しいとも言われています。確かに、上司には部下を育成する任務があり、その一環として部下に苦言を呈したり、時には厳しく叱責したりする必要も出てきます。これがパワハラであるならば、上司は部下を育てるのが難しくなってしまいます。そのため、これらの多くはパワハラに該当しないとされています。
では、指導とパワハラの線引きはどこにあるかというと、「業務上、必要な言動か」です。具体的には、部下のプライベートに口を出したり、仕事を取り上げたり、人格を否定する暴言を浴びせたり、暴力を振るうなどがパワハラと認定されるものです。
パワハラが上司から部下に行うものであるのに対し、「モラル・ハラスメント」、いわゆる「モラハラ」は上司・部下・同性・異性に関係なく行われるものです。部下が加害者に、上司が被害者になる場合もあります。
モラハラは「精神的な暴力」と言われています。例えば、相手を避けて行動をする、わざとメールを送らない、社内の飲み会やイベントに呼ばないなどの行為によって、精神的な苦痛を与えます。「いじめ」に近いものと考えてよいでしょう。
以上のようなハラスメントの被害に遭った場合、まず取るべき対策は「はっきりと拒絶する」ことですが、職場での人間関係を考えると難しい場合も多いですよね。まして、加害者が上司であるならなおさらです。しかし、我慢を重ねてストレスを溜め込み、心身を壊してしまっては元も子もありません。相手にはもちろん、周囲にも明確に伝わるように、はっきりと拒絶しましょう。職場に信頼のおける相談相手を持っておくことも支えになります。
拒絶することで相手がハラスメントをやめてくれたらよいのですが、それでもしつこく続けてくる可能性もあります。そういった場合は被害の状況を細かくメモに残しておきます。加害者は誰で、日付はいつ、場所はどこで、具体的にどのようなハラスメントをしてきたか、周りに誰かいたかなどを書きとめます。今はスマートフォンにもビデオ録画やボイスレコーダーの機能がついているので、それらも駆使して証拠を残しておくと、第三者への相談の際にも冷静に事実を伝えることができるため役立ちます。
ビジネスシーンで起こるハラスメントの予防策は、事例を知ることと、それを自分の職場に置き換えるなどして学習することです。そして、周囲と情報を共有しながらオープンなやり取りを進めていくことも大切です。デリケートな問題ではありますが、ハラスメントの実態をブラックボックス化・日常化させないために、企業規模に関わらず、組織的に予防・リスクマネジメントに取り組むこと、万が一ハラスメントが起こった際の対応やケアを明確化しておくことが求められています。