2019年冬号スマートフォンで “つながる”がビジネスにフードデリバリー市場- 奉行EXPRESS Online -

最近、フードデリバリーサービスについてのニュースをよく耳にするようになったけど、どういう背景があるのかしら。

フードデリバリーサービスとは、いわゆる「出前」だね。日本では江戸時代から料理を顧客に届けるサービスがあったというから、ビジネスアイデアとしては古いよね。

昔からそういったサービスがあったのに、なぜ今、注目されているのかしら。市場が拡大しているからには、もちろん需要があるからというのはわかるけど。

様々な制約があってできなかったことが、スマートフォンの普及やIT・フィンテックの躍進などによって可能になり、ビジネスチャンスにつながっているとも言えるね。

アプリを使って「料理を作る・提供する人」「料理を購入したい・食べたい人」「料理を配達する（収入を得たい）人」がwin-winでうまくつながる仕組みだわ。

加えて食や食事に対する考え方の変化もあるよね。技術や生活スタイルの転換期を迎える今、「仕組み」が大きなビジネスチャンスをつかむきっかけになりそうだよ。

　フードデリバリー市場の拡大を①需要、②IT、③マッチング（つなぎ合わせる）という3つのキーワードで捉えてみます。

　①には様々ありますが、食（食事）に対する考え方の変化が影響していると考えられます。お弁当を買って場所や時間に関係なく食事をすることが効率的だと認識することや、食事に無駄な時間をかけたくない（時短したい）と考えたり、食材を買って腐らせるより、一人分を購入する方が経済的という考え方も多くなりました。②はネットショッピングに抵抗のない世代の台頭や、利便性の高いスマートフォンの普及、アプリの充実、フィンテックの登場です。これにより簡単に注文から決済まで行えるようになり、より便利になりました。そして③は近年成長が著しい企業に共通するキーワードです。例えば、ものを売りたい人（出展者）と買いたい人（購入者）をマッチングするフリマアプリや、車に乗せたい人（ドライバー）と乗りたい人（乗客）をマッチングする配車アプリなど、皆さんもすぐに頭に浮かぶ企業があると思います。

　フードデリバリーサービス（ここではアプリを想定）は、配達コスト等が弊害となっていた料理を提供する店舗と購入者にメリットがあるだけでなく、配達する人が手軽に収入を得られるというのが特徴です。B to Cの2者だけでなく、配達員を含めた3者がwin-winの関係で成り立っていることが成長を後押ししている要素とも考えられるでしょう。
　日本のフードデリバリー市場は、米国や他のアジアの国々と比べ発展途上です。しかし、生活を取り巻く環境が転換期を迎える今だからこそ、注目していきたい成長マーケットであり、そこから今後のビジネスのヒントを探ることができるかもしれません。

ウーバーイーツは2018年11月末現在、世界約380都市、日本では東京、大阪、横浜などでサービスを展開しています。18年11月末には九州地方初として福岡市でもサービスを開始し、利用範囲は徐々に拡大する予定です。今後は、ウーバーイーツ自体の成長だけでなく、ウーバーイーツを利用し、ビジネスを成長・成功させることができる企業が現れるかどうかにも着目したいものです。